現代の『ヒロシゲ』を探せ! 〜53分8本勝負〜
これは「GUTアドベントカレンダー2020」12月11日の記事になります。
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どうも皆さんこんにちは。メリークリスマスです。
2020年も残すところ約半月になりました。いやー、今年はいろいろなことがありましたね。某ウイルスのパンデミックでオーバーシュート、あわやロックダウンというなか、ステイホームとソーシャルディスタンスでクラスターをプリベントしていこうというなかなかハードでヘビーでスパイシーな一年だったのではないかと思いますが、皆さんはいかがお過ごしでしょうか。僕はピュアヒューリーズでハートフェルトファンシーでアンロケイテッドヘルな毎日を過ごしてます。
冗談はさておき、皆さんは『卯酉東海道 ~ Retrospective 53 minutes』(以下『卯酉東海道』)という音楽CD作品をご存知でしょうか。上海アリス幻樂団による音楽CDシリーズ『ZUN's Music Collection』のうちの4作目で、『東方project』の作品で使用された楽曲やオリジナル曲を収録した作品です。この『ZUN's Music Collection』の作品(正確には2作目以降)にはブックレットが付属し、そこではあるオカルトサークル・秘封倶楽部に所属する宇佐見蓮子とマエリベリー・ハーン(通称メリー)という2人の人物を中心としたストーリーが展開されており、これも魅力の一つとなっています。
詳しい説明はニコニコ大百科とかピクシブ百科事典でも見ていただくとして(丸投げ)、大雑把に説明するとこの『卯酉東海道』のストーリーは
蓮子とメリーの2人が京都ー東京間を53分で結ぶ全線地下走行型爆速新幹線『ヒロシゲ』(途中停車駅なし)に乗って東京へ旅をする
といったものになります。
ピンときた方も多いと思いますが、この53という数字や『ヒロシゲ』という言葉には当然意味があります。東海道を舞台としたこのストーリーには歌川広重の浮世絵作品『東海道五十三次』が大きく関わっています。決して今季DeNAを退団した投手・パットン*1の背番号だからというわけではないです。そして面白いのは53との関わりはそこだけではなく、この『卯酉東海道』の総再生時間が53分になるということにもあります。すごいね。
『卯酉東海道』に収録されている曲と再生時間は次の通りです。(カッコ内は累計再生時間)
1. ヒロシゲ36号 ~ Neo Super-Express 3:48(3:48)
2. 53ミニッツの青い海 4:42(8:30)
3. 竹取飛翔 ~ Lunatic Princess 5:25(13:55)
4. 彼岸帰航 ~ Riverside view 5:39(19:34)
5. 青木ヶ原の伝説 4:56(24:30)
6. お宇佐さまの素い幡 4:12(28:42)
7. 月まで届け不死の煙 4:22(33:04)
8. レトロスペクティブ京都 4:00(37:04)
9. ラクトガール ~ 少女密室 4:15(41:19)
10. 千年幻想郷 ~ History of the Moon 5:55(47:14)
11. 最も澄みわたる空と海 5:46(53:00)
つまり、作中に登場する『ヒロシゲ』に乗り、京都(作中では酉京都駅という名前)を出発するタイミングでこのCDを再生し始めれば東京(作中では卯東京駅)に着くころに聴き終えることができるということなのです。
折角ならやってみたい。しかし残念ながら2020年時点では京都と東京を53分で結ぶ鉄道は存在しません。現在建設が進んでいるリニア中央新幹線ですら大阪から東京まで67分かかるようですし、そもそも京都に止まるかすら怪しいっぽいです。京都飛ばし?
それでは『ヒロシゲ』で『卯酉東海道』を聴くのは不可能ということになってしまうのでしょうか。
確かにこの2020年に超特急『ヒロシゲ』はないかもしれません。しかしこの狭いようで広い日本、探してみれば『ヒロシゲ』っぽい列車は見つかるのではないでしょうか。『ヒロシゲ』からいくらかの要素を選び出して、それを満たす列車が存在すればそれは現代の『ヒロシゲ』と言うことはできないでしょうか。
ここまで書いてきて、こう思った人がいるかもしれません。
「いや、『のぞみ』でいいじゃん」
確かに、Twitter上では東海道新幹線に乗りながら『卯酉東海道』を聞いた、といった報告をたくさん見かけるような気がします。2020年時点での最速手段で代替するというのは一見理にかなっているように思えますが、本当にそれでいいのでしょうか。ここで東京方面に向けて『のぞみ』で京都駅を出発した瞬間に『卯酉東海道』を聴き始めるとどうなるか見てみたいと思います。
1. ヒロシゲ36号 ~ Neo Super-Express(京都駅出発)
↓
2. 53ミニッツの青い海
↓
3. 竹取飛翔 ~ Lunatic Princess
↓ (米原駅通過)
4. 彼岸帰航 ~ Riverside view
↓
5. 青木ヶ原の伝説
↓ (岐阜羽島駅通過)
6. お宇佐さまの素い幡
↓
7. 月まで届け不死の煙
↓ (名古屋駅到着・出発)
8. レトロスペクティブ京都
↓
9. ラクトガール ~ 少女密室
↓ (三河安城駅通過)
10. 千年幻想郷 ~ History of the Moon
↓ (豊橋駅通過)
11. 最も澄みわたる空と海
↓
京都駅を出発して53分後、列車は豊橋駅を通過して数分の地点、およそ愛知県と静岡県の県境付近にいますが、ここで一つ気になる点があります。
ネットの広い海の中には一般財団法人日本地図センターが公開している「富士山ココ」というサイトがあり、ここでは日本の中で富士山を見ることができる範囲が示されてます。
この地図で京都から東海道新幹線を愛知静岡県境付近まで辿っていただくと非常にわかりやすいのですが、京都から53分で行ける範囲では
富士山が見えない
ということなのです。正確に言えば豊橋駅の付近で見ることができるのですが、それもほんの一瞬です。フェムトわかりやすく言うと須臾みたいなものです。『青木ヶ原の伝説』に『月まで届け不死の煙』と富士山に関係する曲が複数ラインナップされているにもかかわらずです。一体どこの神聖ローマ帝国ですか(東京ドイツ村でも可)。別に『ヒロシゲ』も本物の富士山を見てるわけじゃないだろとか言わない。
そして『ヒロシゲ』のように53分で終着駅に着くかと言われればそういうわけでもなく、まだまだ先は1時間半あります。次の新横浜まですら1時間あります。まるで名古屋で降り損ねたお客さんの絶望する顔が浮かぶようです。
(長くなりましたが、ここから本題です)
『のぞみ』がダメならどうすればいいのか。お待たせしました、この記事は『卯酉東海道』を聴くのに適した現代の『ヒロシゲ』はどれか探していこうぜというものになります。
作中の『ヒロシゲ』は始発駅の酉京都から終着駅の卯東京までノンストップで53分で結んでいます。それにできるだけ近づけるため、今回探す条件は以下のものとします。
・始発駅から終着駅まで約53分で走破する列車(53分丁度だと探すのがかなり厳しかったので±1分の誤差まで認める)
調査方法は時刻表を片っ端から読んでいって条件に合う列車を探していくという非常にシンプルなものになっています。何事も地道な積み重ねということです。決してこれ以外の調査方法が分からなかったからではありません。なんとなく北は北海道、南は九州まで、全国7地域+αから一つずつ探してみましたので、是非ご覧ください!
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北海道代表:JR留萌本線(深川〜留萌)
試される大地・北海道からは留萌本線の普通列車が選出されました。かつては留萌のさらに先、増毛駅までをつないでいた留萌本線ですが、利用者減少に伴って留萌ー増毛間が2016年に廃止になってしまいました。しかし今回はそれが功を奏した?形での選出となったのではないでしょうか。
セットリストはこのようになります。途中の駅記載は停車駅のみです。
1. ヒロシゲ36号 ~ Neo Super-Express(深川駅出発)
↓
2. 53ミニッツの青い海
↓
3. 竹取飛翔 ~ Lunatic Princess
↓(石狩沼田)
4. 彼岸帰航 ~ Riverside view
↓
5. 青木ヶ原の伝説
↓
6. お宇佐さまの素い幡
↓(峠下)
7. 月まで届け不死の煙
↓
8. レトロスペクティブ京都
↓
9. ラクトガール ~ 少女密室
↓
10. 千年幻想郷 ~ History of the Moon
↓(大和田)
11. 最も澄みわたる空と海
↓
(留萌駅到着)
確かに景色は東海道に比べれば寂しい感じも否めないですが、深川から留萌までの50.1kmを約53分で、それも途中停車駅3つで駆け抜ける様はまさに超特急と言えるのではないでしょうか。
「え、50kmもあって途中駅がたったの3つ?普通列車なのに?」と思った方もいるでしょう。
実は深川から留萌までの間には10個の駅がありますが、一部の列車は普通列車なのに駅を通過することがあるようです。深川から留萌までは各駅停車では60分ほどかかりますが、該当列車は途中7つもの駅を通過することで53±1分という条件をクリアしています。ちなみにというか結構大事なポイントなのですが、この条件を満たす列車は深川を5:44に発車するものしかありません。留萌本線に『ヒロシゲ』の代わりをさせようとするには深川に前日入りして当日早起きするくらいしかないのです。*2
5時台に起きるのは非常に辛いですが、これを秘封倶楽部に置き換えて考えてみたらもしかしたらその辛さも少しは和らぐ可能性があります。深川を5:44に出発する秘封倶楽部の二人の姿を想像してみましょう。無理です。深川を5時台に出発する大学生、もう限界旅行くらいしか考えられません。それともなんでしょう、市場にでも行くんでしょうか。
この列車が留萌に到着するのは6:36ですが、この時間に駅前付近で空いてるお店はコンビニかすき屋くらいしかないようですので、もし留萌に着いたら大人しく深川に戻ってくることをオススメします。
と思ったらもう1店舗ありました。AM9時から翌AM8時まで開いてる作業服店、果たしてその存在は真実なんでしょうか。
東北代表:JR花輪線(大館〜鹿角花輪)
東北地方からは秋田県の大館駅と岩手県の好摩駅を結ぶ花輪線のうち、大館ー鹿角花輪間の40.9kmを走る列車が選出されました。花輪線を走る列車は岩手県を走るIGR銀河鉄道に直通して大館と盛岡を行き来するものが多いのですが、1日3往復だけ大館ー鹿角花輪間だけを走るものがあるようで、それが53±1分の条件を満たしています。というか鹿角って「かづの」って読むんですね。最初「ろっかく」って読んでました。
1. ヒロシゲ36号 ~ Neo Super-Express(大館駅出発)
↓
2. 53ミニッツの青い海
↓(東大館)
3. 竹取飛翔 ~ Lunatic Princess
↓(扇田)
4. 彼岸帰航 ~ Riverside view
↓(大滝温泉)
5. 青木ヶ原の伝説
↓(十二所)
6. お宇佐さまの素い幡
↓(沢尻)
7. 月まで届け不死の煙
↓(土深井)
8. レトロスペクティブ京都
↓(末広)
9. ラクトガール ~ 少女密室
↓(十和田南到着)
10. 千年幻想郷 ~ History of the Moon
↓(十和田南発車)
11. 最も澄みわたる空と海
↓(柴平)
(大館駅到着)
途中十和田南駅で5分ほどの停車を挟むものの基本的に1曲1駅ペースを保ちながらのゴールイン。美しい。お値段は770円(税込)です。
特徴を挙げるとするならば、始発駅の大館駅は秋田県初のご当地発車メロディが採用されています。花輪線の出発する3番線の曲は『きりたんぽ物語』。ものすごいご当地ソング感。他のホームで使用されている『ハチ公物語』と合わせて大館市を拠点に活躍する「ダックスムーン」というインディーデュオの楽曲のようです。聴いてみたら普通にいい曲でした。雪降る夜に聴きたみがあります。
また鹿角花輪駅は十和田湖方面へのバスが1日3本出ています。十和田観光のついでにぜひ花輪線を利用してみるのはいかがでしょうか。他にも池袋から秋田県能代へむかう深夜バス「ジュピター号」が途中鹿角花輪駅に停車するようです。なぜジュピター。池袋駅からは8時間35分。『卯酉東海道』が9ループできます。
関東代表:いすみ鉄道(大原〜上総中野)
激戦区・関東から選出されたのは千葉県の大原駅から上総中野駅までの26.8kmを走るいすみ鉄道です。いすみ鉄道は列車によって結構所要時間がまちまちなのですが、53±1分で走破する列車もいくつかあるので今回選出させていただきました。というか関東の列車はあちこちに直通しすぎ&列車種別多すぎで調べるのがクッソめんどくさかったです。まあ結局選ばれたのは直通も列車種別もない路線だったわけなんですが。
ちなみにこの路線は自分も乗ったことがあります。いすみ鉄道やその隣の小湊鉄道のローカル線感はすごくいいですよね。東京から1時間ほどで行けるということで、お手軽にローカル線の旅をしたい東京民にはおすすめの路線だと思います。
茨城と合わせて「チバラキ」と呼ばれることを嫌がる千葉県民もいるみたいですが、この景色をみたら一緒だろうと思ってしまいます
1. ヒロシゲ36号 ~ Neo Super-Express(大原駅出発)
↓
2. 53ミニッツの青い海
↓(西大原)
3. 竹取飛翔 ~ Lunatic Princess
↓(上総東)
4. 彼岸帰航 ~ Riverside view
↓(新田野・国吉)
5. 青木ヶ原の伝説
↓(上総中川)
6. お宇佐さまの素い幡
↓
7. 月まで届け不死の煙
↓(城見ヶ丘・大多喜)
8. レトロスペクティブ京都
↓(小谷松)
9. ラクトガール ~ 少女密室
10. 千年幻想郷 ~ History of the Moon
↓(総元)
11. 最も澄みわたる空と海
↓(西畑)
(上総中野駅到着)
まあ地方の鉄道の宿命というかなんというか、大原駅から上総中野駅まで乗り通した場合730円と距離の割に高くなってしまいます。京王線とは違うんだ。しかし1日フリー乗車券が平日には1200円で発売されており、往復するだけで元が取れてしまうのでおすすめです。休日にも1500円で販売しておりますので、帰りに途中下車したい場合にはぜひ。小湊鉄道といすみ鉄道で途中下車し放題(ただし後戻り不可)となる房州横断記念乗車券も1730円で販売しております。駅からレンタサイクルが利用できる駅も多いですので、途中下車からの観光もそれなりにしやすいかと思います。おすすめの観光スポットは大多喜ハーブガーデンです。大丈夫です。脱法ではありません。
中部代表:えちぜん鉄道勝山永平寺線(福井〜勝山)
中部地方からは福井県を走るえちぜん鉄道勝山永平寺線が選ばれました。記事を書くために時刻表の地図をじっくり見るまでこの路線の存在を知らなかったのは内緒です。路面電車的なものか...?と思ったら53分で27.8km走る普通の鉄道でした。ちなみに路線名にある永平寺というのは吉田郡永平寺町にある曹洞宗の大本山だそうです。
セットリストはこちら。
1. ヒロシゲ36号 ~ Neo Super-Express(福井駅出発)
↓(新福井)
2. 53ミニッツの青い海
↓(福井口・越前開発)
3. 竹取飛翔 ~ Lunatic Princess
↓(越前新保・追分口・東藤島)
4. 彼岸帰航 ~ Riverside view
↓(越前島橋・観音町)
5. 青木ヶ原の伝説
↓(松岡・志比堺)
6. お宇佐さまの素い幡
↓(永平寺口・下志比)
7. 月まで届け不死の煙
↓(光明寺・轟)
8. レトロスペクティブ京都
↓(越前野中・山王)
9. ラクトガール ~ 少女密室
↓(越前竹原)
10. 千年幻想郷 ~ History of the Moon
↓(保田)
11. 最も澄みわたる空と海
↓(発坂・比島)
(勝山駅到着)
53分で23駅と前3つに比べても多めの駅数となっており、『ヒロシゲ』の特急感はこれでもかというほど失われてしまっていますが、今回その点は気にしない方向なので問題ありません。『竹取飛翔』の間に3駅に止まっていることなど関係ないのです。
この中では越前開発という駅名が気になりますね。どうやらここの開発は「開発する」という動詞の開発ではなく普通に開発という地名だそうです。というかそもそも読み方は「かいほつ」です。ここに高校があれば開発高校という名前になってパワプロのサクセスに出てきそうな感じがしてくるのですが、残念ながらあるのは小学校だけでした。名前は啓蒙小学校。それはそれですごい。ホームページにピンクを全面に使うという大胆なカラーリングや校歌のページを開くと急に校歌が流れ出して閲覧者を驚かせる仕様も含めて非常に面白いと思います。
まあそれ以外では...。正直あまり知らないというのもあってどこに注目していいかわかりません。流石にもう一つほど何か書きたいと思ってえちぜん鉄道のホームページを開くとこのような路線図が目に飛び込んできました。
フェニックス田原町ライン!西春江ハートピア!となかなか強烈な文字列の数々に、えちぜん鉄道の野郎、そっちに隠してやがったのか...と思いたくなってきます。特に気になるのは太郎丸エンゼルランド。頭から終わりまで全く隙がなく、太郎丸からエンゼルランドという圧倒的な変化量を兼ね備えたこの名前はまるで先発完投型の技巧派ピッチャーといった感じでしょうか。おめでとうございます。えちぜん鉄道高校、日本一です。
ちなみに太郎丸は地名、エンゼルランドは近くにある福井県児童科学館の愛称からとっているようです。なぜエンゼルランドが愛称になっているのかはよくわかりませんでした(アフィリエイトサイト風)。
近畿代表:近鉄特急(京都〜橿原神宮前)
路線多すぎ&列車種別多すぎで探すのが面倒くさかった地域part2です。日頃関西の鉄道を使い慣れていないために大変さではナンバーワンだったかもしれないです。しかしまさかの京都発の路線で見つけられるというファインプレー(あっちは酉京都だけど)。ありがとう近畿日本鉄道。
1. ヒロシゲ36号 ~ Neo Super-Express(京都駅出発)
↓
2. 53ミニッツの青い海
↓(丹波橋)
3. 竹取飛翔 ~ Lunatic Princess
↓
4. 彼岸帰航 ~ Riverside view
↓
5. 青木ヶ原の伝説
↓
6. お宇佐さまの素い幡
↓
7. 月まで届け不死の煙
↓(大和西大寺)
8. レトロスペクティブ京都
↓
9. ラクトガール ~ 少女密室
↓
10. 千年幻想郷 ~ History of the Moon
↓(大和八木)
11. 最も澄みわたる空と海
↓
(橿原神宮前駅到着)
今回初めての特急の登場となります。京都駅から奈良県の橿原神宮前駅までの58.4kmを約53分で結ぶこの列車はわずか途中停車駅が3つ。どこかの留萌本線みたいですが、もちろんこちらは特急ということで特急料金がかかってしまいます(運賃900円+特急券920円)。個人的には50kmくらいの区間で特急に乗るのって躊躇してしまうのですが、みなさんはどうなんでしょうか。京都から橿原神宮前まで普通列車で行くと約75分かかるみたいですので、20分+着席権を920円で買っているという見方が出来そうです。
正直京都については今更何に触れようか、といった感じですかね。おそらく皆さんの方が詳しいような気がしますし。自分が京都に行ったのは修学旅行を含めて2回なのですが、この記事を読んでる方々の中には普通に10回くらい行ってそうな方もいるんじゃないでしょうか。おすすめのラーメン屋でも教えてください。
ところで、『卯酉東海道』で触れられていますが秘封倶楽部の舞台設定ではもう首都は京都に遷っているんですよね。つまり関西弁が日本語の覇権を握っているってことになるんでしょうかね。その場合の東京方言の立ち位置が気になります。蓮子は東京出身で京都の大学に通っているようですが、「東の言葉を喋るなんて田舎くさいね」とか思われたりするのでしょうか。あるいは蓮子が似非関西弁を喋ってブチギレられるみたいな一幕とかあるんですかね。まあでも京都の人なら今でもそういうこと思ってるような気もします。すみません、ここまで全部偏見です。
ごじゃっぺ言ってねえで早ぐ次行ぐべー。
中国四国代表:伊予鉄道高浜・横河原線(高浜〜横河原)
中国・四国地方からは愛媛県の伊予鉄道が選出となりました。中国地方と四国地方をまとめているのは単純に中国地方で条件に合う列車が見つからなかったからです。見つけた方はぜひご一報を。
ここでは高浜・横河原線と表記していますが正確には高浜線(高浜〜松山市)と横河原線(松山市〜横河原)に分かれていて、ほとんどの列車がその両者を直通しています。もちろん高浜駅から横河原駅までの区間が53±1分の条件を満たしています。それではこちら。
1. ヒロシゲ36号 ~ Neo Super-Express(高浜駅出発)
↓(梅津寺)
2. 53ミニッツの青い海
↓(港山・三津・山西)
3. 竹取飛翔 ~ Lunatic Princess
↓(西衣山・衣山)
4. 彼岸帰航 ~ Riverside view
↓(古町・大手町)
5. 青木ヶ原の伝説
↓(松山市)
6. お宇佐さまの素い幡
7. 月まで届け不死の煙
8. レトロスペクティブ京都
↓(鷹ノ子)
9. ラクトガール ~ 少女密室
↓(平井・梅本)
10. 千年幻想郷 ~ History of the Moon
11. 最も澄みわたる空と海
↓(見奈良・愛大医学部南口)
(横河原駅到着)
まず目に付くのは駅数の多さでしょうか。全線の距離は22.6kmと短くなっているものの、ほぼ全ての駅間距離が1km前後となっているため結果として多くなりました。24駅は今回紹介する路線では最多となります。あと、最も大きい駅である松山市駅で流れている曲が『青木ヶ原の伝説』なのがなんかいいですね。
というか松山の中心駅って松山駅ではなく松山市駅なんですよね。愛媛に行った時松山駅を見て「意外としょぼいんだなあ」という第一印象を抱いたのが思い出されます。その後松山市駅周辺の栄え具合に驚いたのは言うまでもありません。高島屋があるのは都会の証拠(個人の感想)。下げて上げるタイプの街です。逆に上げて下げるタイプの街ってどこだろう...と思いましたが多分誰も幸せにならないのでやめましょう。
また、高浜線は夏目漱石の小説『坊っちゃん』で東京から愛媛へと赴任してきた主人公が「マッチ箱のような汽車」と形容した列車が走っていた路線であるそうです。現在では当時の列車の姿を復元した「坊っちゃん列車」が主に観光用として松山の街を走っています。がしかし今走っているのは高浜線ではありません。残念でした。現在は松山市駅や古町駅から道後温泉駅までを結ぶ路線で運行されています。道後温泉、いいとこだもんね。仕方ないね。
「坊っちゃん列車」に限らずですが、松山は『坊っちゃん』推しがすごいです。wikipediaで見つけただけでも坊っちゃんスタジアム、坊っちゃんエクスプレス、坊っちゃん劇場...。もはや松山にあればなんでも坊っちゃんを冠してもいいと思っている節すらありそうです。
↓ちなみにgoogleマップで「坊っちゃん」で検索するとこうなるの図
ちなみに「坊っちゃん」物件私的ランキング(選考2分)は
3位:坊ちゃん3
2位:(株)坊っちゃん電力
1位:お出かけたくしぃ坊っちゃん
です。理由は特にありません。
九州代表:JR三角線(熊本〜三角)
ここで久しぶりのJRの登場となります。九州地方からは熊本県内を走るJR三角線が見事選出されました。「さんかく」ではなく「みすみ」ですよ? 正確には三角線は途中の宇土から三角までの区間だけですが、全ての列車が熊本駅まで乗り入れているのでここではまとめて三角線と表しています。あまくさみすみ線という愛称がありこの場合だと熊本から三角までの区間を指すそうです。
1. ヒロシゲ36号 ~ Neo Super-Express(熊本駅出発)
↓
2. 53ミニッツの青い海
↓(西熊本・川尻)
3. 竹取飛翔 ~ Lunatic Princess
↓(富合)
4. 彼岸帰航 ~ Riverside view
↓(宇土)
5. 青木ヶ原の伝説
↓(緑川)
6. お宇佐さまの素い幡
↓(住吉)
7. 月まで届け不死の煙
↓(肥後長浜)
8. レトロスペクティブ京都
↓(網田)
9. ラクトガール ~ 少女密室
↓
10. 千年幻想郷 ~ History of the Moon
↓(赤瀬・石打ダム)
11. 最も澄みわたる空と海
↓(波多浦)
(三角駅到着)
道中の住吉駅から赤瀬駅までは海沿いを走る区間となっており、右手に広がる有明海の絶景を堪能することができると思われます(地図で見てるだけなのでもしかしたら絶景ではないかもしれない)。また、終点の三角駅は天草諸島の玄関口的ポジションとなっており、天草方面へのバスが発着するほか、駅から徒歩2分のところにある三角港からはフェリーも出ています。
ここで紹介しているのは普通列車ですが、三角線には(土休日限定の観光列車という扱いながら)特急も走っています。その名も『A列車で行こう』。時刻表の特急路線図を見て思ったのですが、観光列車が多いからかJR九州の特急の名前は非常に独特な気がします。「ひたち・しおさい・あそぼーい!」、「はるか・くろしお・海幸山幸」と他の地域の特急と並べてみても一発でわかります。やっぱり観光列車はインパクトが大事ですね。
車両はどうなのかというとやはりド派手。九州の観光列車のデザインは水戸岡鋭治さんというデザイナーによるものが多く、走る地域に関係するテーマに沿って製作がなされているみたいです。例えば天草方面へ走る『A列車で行こう』のテーマは「16世紀の天草に伝わった南蛮文化」となっています。そうなってくるともしかしたら「北九州の成人式」をイメージした列車が登場する日もそう遠くはないのではないでしょうか。名前は『
...とここまで7地域の代表を見てきた訳ですが、こう思った方も多いのではないでしょうか。「もはや『ヒロシゲ』関係なくね?」と。53分という要素に引っ張られすぎてもっと大事なことを見落としてるんじゃないかと。確かにきりたんぽも太郎丸エンゼルランドも、ましてや北九州の成人式も、『卯酉東海道』という作品には関係がないかもしれません。 そもそも思い返してみれば、最初の目的は
現代の『ヒロシゲ』はどれか、探していこう
だったわけです。 それがどうでしょう。現代の『ヒロシゲ』と言えるだけの列車が果たして見つかったでしょうか。多くの方は「いや、違うだろ」とお思いになったことでしょう。そもそも最初に「富士山が見えない」という理由で東海道新幹線に難癖つけておいて、ここまで登場した7路線どれも富士山が見えないというのは流石にどうなんでしょう。
安心してください。ここまでは正直茶番と言っても過言ではありません。大本命は別にいます。ここまで見てきた7つの列車なんて目じゃないような、正真正銘現代の『ヒロシゲ』と呼べるような列車は、実は身近にあったのです。
開催国(?)代表:つくばエクスプレス区間快速(秋葉原〜つくば)
開催国枠(別名・地域枠推薦)に入ってきたのはなんとつくばエクスプレス区間快速。 柏の葉キャンパス駅は東京大学柏キャンパスの最寄り駅ということで馴染みのある方も多いのではないでしょうか。全然快速じゃない快速こと区間快速はなんと秋葉原からつくばまで53分で結ぶんですね。 あら不思議。
1. ヒロシゲ36号 ~ Neo Super-Express(秋葉原駅出発)
↓(新御徒町)
2. 53ミニッツの青い海
↓(浅草・南千住)
3. 竹取飛翔 ~ Lunatic Princess
↓(北千住)
4. 彼岸帰航 ~ Riverside view
↓(八潮)
5. 青木ヶ原の伝説
6. お宇佐さまの素い幡
↓(流山おおたかの森)
7. 月まで届け不死の煙
↓(柏の葉キャンパス)
8. レトロスペクティブ京都
↓(守谷)
9. ラクトガール ~ 少女密室
↓(みらい平)
10. 千年幻想郷 ~ History of the Moon
↓(みどりの・万博記念公園)
11. 最も澄みわたる空と海
↓(研究学園)
(つくば駅到着)
しかもコイツ、53分で走るってだけじゃないんです。 他にも『ヒロシゲ』との共通点があるんです!
共通点
・始発駅から終着駅まで53分。
・踏切がない。(多分ヒロシゲもないはず)
・速い。(他の通勤列車と比べて)
・理論上さらに速くすることができる。(快速があるので)
・地下を走る。(一部)
・既存のインフラの限界によって建設された。(第二常磐線なので)
・旧首都と新首都を結ぶ。(つくばに一部首都機能が移転されているので)
・スクリーンがある。(最近つきました)
・富士山クラスの山がはっきり見える。(「西の富士、東の筑波」なので)
・富士山も見える。(一応)
・富士山は世界遺産である。(言わずもがな)
・樹海を通る。(流山おおたかの森駅を通るので)
・高層ビルが見えない。(ないので)
・派手な格好の若者達が独自のルールを形成している。(してるので)
・時期。(『卯酉東海道』の発表時期とつくばエクスプレスの開業日が近いので)
どうでしょう。 ほぼ一致していると言っても過言ではないでしょう。 今まで長々と書いてきましたが、正直これを書きたかっただけだったような気がしないこともないです。見つけた! 見つけた! 『ヒロシゲ』は本当にあったんだ!
さいごに
のぞみでいいような気もする。
あとがき
せっかくなので記事を書きながら思ったことでも書きます。
今回のアドカレ執筆を機にはてなブログのアカウントを作ったわけなのですが、10年ぶりくらいにはてなのサービスに戻ってきたということでなんか少しだけ感慨深くもあります。だってうごメモ以来ですよ。使えるネット環境をロクに持ってなかった10年前はDSiだけが外界のものに触れられるアイテムだったわけで、当時はそれが刺激的で狂ったようにDSiで遊んでたような気がします。今から考えるとオタクっぽい方向に走り始めたのってあの辺がきっかけだったような... もう一つの趣味である浦和レッズ*3の応援も確か10年前からだったはずなので、今の自分は10年前の自分の延長線上にいるのかもしれません。10年間成長していない、といえばそれまでですが。
それと最後のところで『のぞみ』でいいんじゃね、なんて書いてしまいましたが、やっぱりリニアが開通したらそっちが第一候補になるんでしょうね。まず東京ー名古屋間は2027年開業...の予定でしたが、いろいろ揉めてる影響もあってなんか遅れそうな気がします。10年後くらいになりそう(適当)。肝心の(?)大阪までは2037年開業の予定でしたので、こちらは20年後くらいになるかもしれません。しかし10年後にリニアに開業するかもしれないというのは遠いようで近いような気がします。子供の頃の自分にとっては遠い未来の乗り物でしたので、やっと手に届くところまできたな、という感じがします。
いい加減長くなってきたのでこの辺で終わっておこうと思います。まず、ここまで13000字超という長文を読んでいただきありがとうございました。これほどの長文をレポート以外で書くのが初めてということもあり、文章中で間違っている点とか普通にあるような気がするので、見つけた方は気軽にご指摘ください。土下座の準備はできてます。
某ウイルスの影響でなかなか気軽に旅行ができないご時世にあって、時刻表と地図帳とインターネット上の知識だけでほぼ全て構成されるという「足で稼がない」記事になってしまったわけですが、読んでいるみなさんがちょっとした旅行気分を味わうことができたのであれば幸いです。大学のレポートだったら怒られるような「まとめただけ」の文章みたいになってますが、成績がつくわけじゃないし別にいいよね、の精神で書いています。そうでもしないと書けなかったんじゃ...
そして最後にもう一つ。貴重な時間を奪ってしまってすみませんでした...!(土下座)
完