ツエーゲン金沢観戦記 〜新スタジアムの息吹〜
こんにちは。
緊急事態宣言が明けるなど、少しずつながら状況が好転していく兆しが見え始めているこの頃ですが、みなさんいかがお過ごしでしょうか。私は最近Twitter方面で話題になった「おじさん構文」を自分も使っていないかどうか、文章を書くたびにビクビクしている日々です。(←聞いてない笑)(こら笑)(爆)
一方で金沢方面ではこんな話題があった。
かねてより計画のあった金沢新スタジアム計画がついに着工の運びとなった。
新スタジアムは金沢市の城北市民記念公園内に2023年9月に完成する予定となっている。まずは収容人数10,000人のサッカー専用スタジアムとして建設され、金沢を拠点とするJクラブ・ツエーゲン金沢がJ1に昇格する場合(J1クラブライセンスを取得する場合)15,000人規模へ拡張できるようになっている。メインスタンド・バックスタンド・南サイドスタンド(ゴール裏)の3方向に観客席が設置されるが、スタンドとピッチの距離が最短7mほどとなっており、臨場感をこれまで以上に味わうことができると思う。
新スタジアムができたらもちろん行きたいと考えているが、工事が始まったばかりの姿もぜひ見てみたい。スタジアムができてしまえばその前の姿を実際に見る機会は無くなってしまうのである。新スタジアムに行く時もその前の姿を知っていればより楽しめるのではないだろうか。「善は急げ」ということで、9月いっぱいで緊急事態宣言が解除されたこともあり、10月最初の週末で金沢に行くことに決めた。1週間前の話である。
ツエーゲン金沢って?
ツエーゲン金沢は石川県をホームタウンとするサッカークラブで、1956年に「金沢サッカークラブ」として誕生し、2006年に「ツエーゲン金沢」に改称した。ドイツ語の「zwei(2)+gehen(進む)」という言葉と、金沢弁の「つぇーげん(強いんだ)」という言葉をかけているらしい。ダジャレ。
Jリーグが3部制になった2014年にJ3に参入し、いきなりその年に優勝したJ3初代王者。2015年以降はずっとJ2で戦い続けており、最高順位は2019年の11位。外の人からすると隣県のカターレ富山とはライバルな気がしてくるが、金沢がJ2に上がるタイミングでJ3に落ちてしまったので、意外にもJリーグでの直接対決はないっぽい。
城北市民記念公園へ
新スタジアムができる予定である城北市民記念公園の最寄り駅は磯部駅。
北陸鉄道ではSuicaやPASMOといった交通系ICカードは使えず、ICaカードと呼ばれる北陸鉄道発行のものに限られるので、県外から来た人は乗車券を買うことになるだろう。
浅野川線はおよそ1時間に2本運行している。
磯部駅は1面1線の無人駅。気を抜くと線路に落ちてしまいそうな狭さである。
新スタジアムができた時にはこの駅もサポーターで賑わうことになるのだろうか...
比較的大きい駅である東金沢駅からも遠くはないので、そこからバスが出たり歩いたりする人も多いと思うけど。
磯部駅から公園までは歩いて15分ほど。十分歩ける距離だった。
公園の周りは建物が少なく、田んぼに囲まれていてとてものどかな雰囲気だった。
辿り着いたスタジアム予定地はすでに更地となっていた。日曜日ということで特にこの日は作業をしておらず、重機が1台止まっていた。
元々は「本田圭佑クライフコート」と「ジュニアスポーツコート」という小さいサッカー場が2面、そして多目的芝生広場があった場所である(google mapではその存在を確認できる)。「本田圭佑クライフコート」は、金沢の星稜高校で活躍した本田圭佑選手がVVVフェンロ時代にオランダ2部で最優秀選手になった際、副賞として建設されたものらしい。すごい。これらは現在金沢市民サッカー場がある場所に移転されるようである。
(ちなみに金沢市議会議員の坂本泰弘氏のFacebookで基本計画を見ることができた。→)
公園の南は駐車場などが作られる予定となっているが、この時はまだまだこれからという感じ。この草がぼうぼう生えている場所が2年後には観戦に来た人たちの車でいっぱいになっていると考えると感慨深かった。
スタジアム予定地前の道路は片側一車線の小さな道路。しかし交通量はそこそこあったので、写真を撮るのに少々苦労した。
せっかくなので建設計画の写真となるべく同じ角度になるように撮ってみた。
計画ではこの道路を跨ぐようにしてエントランスゾーンが設けられる。上の画像でスタジアムから左方向に伸びているものがそれである。
スタジアム予定地の北にはスポーツ交流広場と現在の金沢市民サッカー場がある。この日はスポーツ交流広場で少年サッカーが行われていた。
今の金沢市民サッカー場は3,010人収容で主に高校サッカーなどで使われている。今月も選手権大会の県予選が行われる予定となっており、順当に行けば星稜高校などもここでプレーするはずだ。社会人では、2019年には地域CLの1次ラウンドが開催されたほか、ツエーゲン金沢もJ参入以前はホームゲームの一部をここで開催していた。
2年後の完成が今から楽しみだ。
スタジアムへのアクセス
続いては現在のツエーゲン金沢のホームスタジアム、石川県西部緑地公園陸上競技場に向かう。金沢駅から公共交通機関でスタジアムに向かう場合、試合開催日に運行されるシャトルバスないし路線バスを利用することになる。
この日は試合日ということで、ツエーゲン金沢サポーターだけではなくアウェイチームのアルビレックス新潟のユニフォームを着た人も見受けられた。新潟はJ2屈指のサポーターの多さであるし、近いということもあってその比率は1:1くらいだった。また、ツエーゲン金沢のユニフォームを着たボランティアの方がバス停の近くに立っており、スタジアムへのアクセスや帰りのバス停のことについて教えてくださった。本当にありがとうございます。
シャトルバスは西口バスターミナルの1番乗りばから発車する(20分400円)。試合開始3時間前から3,4本ほど運行されており、詳しい時刻は1週間前を目処にツエーゲン金沢のホームページに掲載される。
路線バスは「52:示野線」「51,54:安原線」「56:西部緑地線」を使えば近くまで行くことができる。
「52:示野線」の場合は「袋畠西部緑地公園前」で降りるとすぐにスタジアムに着く(20分300円。今回はこのバスを利用した)。本数が少ないので注意。
「51,54:安原線」の場合は「松島」で降りるとそこから徒歩15分でスタジアムに着く(30分330円)。バス停から歩くことになるが本数は1時間に1~2本ある。
「56:西部緑地線」の場合は「西部緑地公園」で降りるとすぐにスタジアムに着く(30分360円)。こちらも本数が少ないので注意。
「52:示野線」は西口7番のりばから、「51,54:安原線」と「56:西部緑地線」は東口11番のりばからそれぞれ発車する。
また、金沢市公共シェアサイクル「まちのり」を利用して向かう手段もある。
「まちのり」とは、金沢市内各地に設置されているサイクルポートで電動自転車を借りることができるサービスだ。返却時は借りた場所に限らず好きなところのサイクルポートで返却することができるので、観光などにとても便利である(ダイマ)。ツエーゲン金沢のホームゲームがある時にはスタジアムに返却ポートが臨時で設置される。
金沢駅からスタジアムへは5kmほどだから、1時間利用で275円で向かうことができ、また時間も選ばないのでバスより良い点も多い。また。「まちのり」で来場した方のみの抽選会もあることもある。
帰りは公共交通機関の場合シャトルバスで帰るのが一番楽だろう。スタジアムからツエーゲン茶屋街方面への道路を真っ直ぐ行き、駐車場に出たら右に曲がるとバス停がある。
石川県西部緑地公園陸上競技場にて
路線バスに揺られること約20分。西部緑地公園沿いの「袋畠西部緑地公園前」バス停で下車し、そこからすぐスタジアムを見ることができた。
石川県西部緑地公園陸上競技場は1974年に開場して陸上競技場で、1991年の国体のメインスタジアムである。メインスタンド側の外観ではレンガタイルが見られる。今はツエーゲン金沢のホームスタジアムとして利用されているが、2010年まではガンバ大阪が1年に1回ほど試合を開催していた経験を持つ。また、90年代には鹿島やFC東京、清水、京都も主管試合をここで開催している。
スタジアムの前には噴水広場があり、試合日には金沢の観光地である茶屋街の名前をとって「ツエーゲン茶屋街」と呼ばれている。グッズショップやスタジアムグルメの屋台が立ち並ぶほか、噴水の前にはイベントステージもある。この日は芸人マテンロウのトークショーなどが行われていた。それほど広くはないので試合前は非常に混んでいた。
スタジアムグルメのお店は全部で10店舗ほどあった。「旨辛スタジアム」のキャンペーンが行われており、スパイシーフードの種類が豊富になっていた。
この日はコロナ対策で噴水のふちに座って食べることはできず。ツエーゲン茶屋街の奥の屋台がないところで食べている人もいたが、それほどベンチの数は多くなかったのでスタジアムに入ってから食べるのがいいかもしれない。再入場は可能である。
私は「コリアンキッチンWOVA」さんのチーズタッカルビを食べた。美味しかった。
過去には「カレースタジアム」や「チーズグルメ大集合」、「夏グルメ勢揃い」などといった様々なキャンペーンが行われているので、スタジアムに足を運ぶたびに新鮮な楽しみがありそう。
ツエーゲン茶屋街とスタジアムの間に道路が通っており、試合日であっても時々車が通るので、スタジアムとツエーゲン茶屋街を行き来する際はぜひ気をつけて欲しい。
また、ツエーゲン茶屋街だけではなく、ホームゴール裏にもキッチンカーが数台止まっていた。
スタジアムの中はこんな感じ。よくある陸上競技場と同じく、ピッチとの距離は遠目でスタンドの傾斜も緩やかなので多少の見づらさはある(めちゃめちゃ気になるってほどではない)。
陸上競技場のスタジアムはサッカー専用スタジアムと比較して悪く言われることが多いが、私はあまりそうは思わない。特に写真のように晴れた日は、空が広く見えるので開放感があって結構好きである。
一番びっくりしたのは大型スクリーンだ。フルカラーで画面が大きく、とても見やすかった。試合時間を示す時計(45分のやつ)も画面に表示するタイプなので、試合前後はスクリーンをフルで使うことができ、迫力のある演出を楽しめる。後で分かったことだがこれは2018年に完成したばかりのものだそうで、「日本海最大級」のものだそうだ。
席種は6種類。
・ピッチサイドシート(ホーム用/ビジター用)
・S席(指定)
・SA席(指定)
・バック席(ブロック内自由席)
・ホーム席(ブロック内自由席)
・ビジター席(ブロック内自由席)
ゴール裏はピッチとの距離がかなり離れているのでサッカーを純粋に見たいという人にはおすすめできないかもしれない。ただし応援の熱さはすごいので、雰囲気を味わいたい人はぜひ。
ホーム席以外はビジターサポーターも買うことができる。ビジター用ピッチサイドシートもあるって珍しくない?
また、S席・SA席・バック席は早得7という割引制度があり、7日前までのチケット購入で100~600円安くすることができる。
試合前にはスタジアム内でもイベントは行われていた。公式マスコットキャラクターであるゲンゾイヤーとヤサガラスのヒーローショー?的なものも。この日は連敗続きで自信を失っているゲンゾイヤーをヤサガラスが励ますという展開。いやあんた悪役っぽい見た目してるのに。
調べてみると、ツエーゲン茶屋街の噴水広場やスタジアム内でパフォーマンスをする団体は一般でも募集しているようなので、腕に自慢がある方々はぜひ。
この日はアルビレックス新潟との一戦。
金沢は13試合勝利がなく、最後に勝ったのは6/13のアウェイ愛媛戦(◯1-3)まで遡る。順位は22位(最下位)だが、J2残留争いは非常に混戦なためまだまだ残留の可能性は十分にあり、早く勝ちが欲しいところ。ホームのサポーターに3ヶ月ぶりの勝利を届けたい。
新潟は前節終了時点で3位。J1昇格圏の2位京都とは勝ち点差が10あったが、前日の試合で京都は長崎に敗れたため今日勝てば勝ち点差を7に縮めることができる。今節含め残り11試合、下位相手に勝ち点を取りこぼしている余裕はなく、必勝体制で臨んでくることが予想された。
試合は前半8分、金沢のFW9丹羽詩温が右からのクロスに対し一瞬でDFの前に出るストライカーらしいプレーで先制する。そのあとは金沢は自陣でしっかりブロックを作り、あまり新潟に決定的なチャンスを作らせなかった。後半も金沢の守備に対し新潟が攻めあぐねる展開が続いたが、後半32分に新潟はPKを獲得する。しかし、金沢のGK1後藤雅明のビッグセーブが飛び出して得点ならず。そのまま守りきり、金沢が1-0で勝利。13試合ぶりに歓喜の瞬間が訪れた。
試合終了後ピッチに倒れ込む丹羽の姿が印象的だった。丹羽は攻撃では値千金の決勝ゴールを決め、守備では相手のDFに対し圧力をかけ続けるとともに縦パスのコースを消し、新潟の攻撃を停滞させていた。間違いなくこの試合で大きく勝利に貢献した一人だと思う。
涙を流すサポーターも多かった昨日の勝利✨
— ツエーゲン金沢 (@zweigen_staff) 2021年10月4日
この引用先投稿写真には前編が..🥲@Zweigen_goods
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試合終了の笛が鳴る2分前。
ベンチに下がった選手たち。
仲間の勝利を信じ、
祈るように手を合わせる。
そして、試合終了の笛ー.
長く暗かったトンネルを抜けた瞬間。
感情が溢れた瞬間。#ここから https://t.co/r4lFA6BYV6 pic.twitter.com/R8SSwYLdhf
今日の結果で金沢は勝ち点を3つ積み、一気に18位に浮上。降格圏を脱出した。14位大宮から22位愛媛までの勝ち点差はわずか4しかなく、毎試合順位が大きく変動することが予想される。史上稀に見るJ2残留争い、まだまだ目が離せないだろう。自分も注目してみていきたいと思った。
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2021明治安田生命J2リーグ第32節
得点者:(金沢)9分 丹羽詩温
入場者数:3955人
天候:晴れ、26.6℃
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〜今後の石川西部開催ツエーゲン金沢ホームゲーム〜
10/17(日) 14:00KO vs ヴァンフォーレ甲府
11/3(水・祝) 18:00KO vs 愛媛FC
11/14(日)14:00KO vs 東京ヴェルディ